メンタルヘルスにおいて、良質な睡眠は欠かすことのできない要素です。
メンタルに限らず、健康全般についても同じことが言えます。
また、勉強や問題解決に置いても 、眠っている間の脳の活動が重要です。
僕は、そのような問題意識が常に頭にあるため、こういうタイトルに惹かれてしまいます。
さらに、著者が以前このブログでも記事にしている『その科学が成功を決める』のリチャード・ワイズマンさんでもあり、この本を読むことにしました。
『その科学が成功を決める』の記事はこちらです。
著者が「眠りの科学」に関心を寄せるようになったのは「夜驚症」に襲われたからです。
「夜驚症」とは聞きなれない言葉ですが、本書によれば「睡眠中に突然起き出し、叫び声をあげたりする症状」とのこと。
著者は、その症状を「寝室に悪魔が現れた」と表現しており、悪夢の一種と考えていたようです。
しかし、心理学関連の討論会で出会った睡眠の専門家に、その症状を説明したところ、悪夢ではなく夜驚症だと伝えられます。
そして、症状の解消に役立つことを教えてもらい、その後は悪魔に会うことがなくなったそうです。
そのような経験から、睡眠と夢について興味を持ち、本書の執筆にまで至っておられます。
本書の特徴は、睡眠だけでなく、夢について詳しく書かれていることだと思います。
前半では、睡眠に関する基礎知識という内容で、メンタルヘルス・心理学・脳というアプローチから、見聞きしたことあるものがほとんどでした。
しかし、不眠、睡眠不足の害について詳しく書かれた章では、かなり衝撃的な事例が紹介してあり、睡眠の重要性を再認識させられます。
ちなみに、極端な不眠状態が、人の心や体にもたらす問題を考慮し、現在、ギネスブックは不眠の最長記録をカテゴリーからはずしているそうです。
夢について書かれた後半については、読んだだけ理解するのは難しい。
夢には隠された意味があるという点は、数多くの実験結果で支持されており、それが無数の人たちの日常改善に役に立っているそうです。
うつ病やストレスの解消、問題解決や目標達成といったことに、夢の力が使えるというのです。
夢が日常改善に役に立つというのは、少し超常現象の臭いがします。
しかし、リチャード・ワイズマンさんは、その類のものから徹底的に距離を置いている人です。
その人の著書で書かれていることなので、信頼性は高いと考えてよさそうです。
しかし、本書に書かれている「夢の力を使う実践法」について、実際にやってみて、効果を実感できないと、自分の生活に夢を活かそうとはなりません。
そうは言っても、優先順位を考えれば、何でもかんでも実践はできません。
個人的には、後半の夢の部分はおまけと考えて、前半の睡眠についての知識の実践を優先した方がいいと思います。
そこは読んだ人の興味と優先順位次第でしょう。
何はともあれ、睡眠に関する悩みがある人にはお勧めできる1冊です。