読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

読書 ときどき 文房具

「メンタルヘルス」「心理学」「脳」「読み書きスキル向上」「Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)」「読書・仕事等に使える文房具」等々

十二人の死にたい子どもたち 冲方丁

第156回(平成28年下期)直木賞候補作品。

受賞した『蜜蜂と遠雷』を含む候補作品の中から何か読もうと思い、タイトルからこの作品にしました。

人にとって、「死」は避けられないもの。

だから、人は「死」を扱ったものに惹かれるのでしょう。

病気のこともあり、僕はそういう傾向が強いように思います。

 

ネットを通じて廃業した病院に集まった十二人の子どもたち。

その目的はみなで安楽死すること。

しかし、集合場所には、すでに一人の子どもが横たわっていた。

これは困った。

さあ、どうする。

ということで、話し合いが始まります。

ちなみに、ここでいう「子ども」は、中高生ぐらいの設定です。

 

本文が始まる前に、この病院のフロア図が書かれています。

読者は、このフロア図を何度も確認しながら、読み進めることになるでしょう。

僕は電子書籍で読んだのですが、この行ったり来たりが、けっこう面倒でした。

この辺は、紙の書籍が勝るところですね。

このフロア図が無いと、話が分かりにくくなります。

文章だけでは、とても理解できなかったですね。

 

読む前は、登場人物が十二人ということで、その区別がつくか不安でした。

小説を読んでいると、「この人は誰だったっけ?」となる時ありますよね。

しかし、それぞれのキャラクターの違いが上手く描かれており、さほど混乱することなく読めました。

また、十二人が1番から12番の番号を持っているという設定も、登場人物を区別する助けになっています。

あと、「実写化するならこの人物は誰がいいかな」とか、「自分の周囲にいる人ならあの人かな」と考えながら、読んだことも良かったかもしれません。

 

安楽死=自殺をするために集まった子どもたちです。

それぞれに、その理由があります。

すでに横たわっている十三人目は誰なのか、最終的に安楽死が実行されるのかということが、メインストーリーです。

ここが、ミステリーとしての、この作品の面白さです。

しかし、子ども達がなぜここに来たのかという点が、作者からの問題提起として、強く印象に残ります。

 

僕は、小説を読む時に、作者のメッセージは何だろうと考えてしまいます。

娯楽として、単に「笑わせたい」「泣かせたい」という小説もあるでしょう。

でも、文章を誰かに読んでほしいということは、何か伝えたいことがあると思うんですよね。

そういう意味では、この小説は、現代社会が抱える問題点を、十二人の子どもたちに語らせていると言っていいでしょう。

特に、子ども視点というところに、メッセージ性の強さを感じました。

 

 そういう訳で、ミステリー小説の要素と、社会派小説の要素を上手く織り交ぜた小説でした。