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クール 脳はなぜ「かっこいい」を買ってしまうのか スティーヴン・クウォーツ(著) アネット・アスプ(著) 渡会圭子(訳)

 昨日は『買いたがる脳、なぜ、「それ」を選んでしまうのか?』という本を紹介しました。 

saaiwa819.hatenablog.com

 タイトルを見ると、今日の本も同じような内容かと思えますが、全く違うものでした。

 

『買いたがる脳 なぜ、「それ」を選んでしまうのか?』は、知らないうちに「脳への売り込み」が行われており、その知識を持っておくことが大事であるという内容です。

消費者としての心構えを訴える、実践的な本と言えるでしょう。

一方、今日紹介する『クール なぜ脳は「かっこいい」を買ってしまうのか』は、「現在の消費」とは何なのかを説明しようとする本です。

どちらかと言えば、学問的な要素が強いように思います。

 

では、本書が主張する「現在の消費」とは何なのでしょうか。

 「現在」を語る時は、その歴史を振り返る必要があります。

「過去からの流れで、現在はこうなっている」「過去はこうだったけど、現在はこうだ」という展開になるのは必然です。

 

そして、本書は、現在の主流と思われる「消費に対して否定的な意見」に異議を唱えることを目的としています。

消費に対して否定的な意見としては、以下の点に集約されているようです。

学者からコラムニストまで、現在、消費を論じる多くは、先人たちと同様、倫理面から消費を非難している。そうした批判者にとって、消費は社会に深く害をなすものだ。資源が限られている世界で持続しない。コミュニティを破壊する。市民を消費者にすることで民主主義が傷つけられている。ナルシストになる。物質主義を引き起こす。

この引用箇所については、何らかの形で耳にしたことがありますよね。

この「反消費主義」と言えるものに、意義を唱えようというのです。

そのために、著者らが専門にしている「神経経済学」「文化生物学」の考え方を活用しているとのことでした。

 

学問的な要素が強いというのが、おわかりいただけたでしょうか。

正直、まえがきの役割を果たしている最初の章を読むだけでも一苦労です。

全体的にも、小難しい話が込み入っており、著者の主張が正しく理解できている自信はありません。

 簡単に言うと、以下のとおりです。

 

人間は社会的動物であり、他者から承認を求めるものである。

それは本能的な生存戦略としても有効である。

「モノ」は自分の価値を表すひとつのシンボルであり、他者へのアピールとなる。

過去の価値観では、ある「モノ」を持つこと(=消費)が、その社会でのステイタスを表していた。

しかし、現在は価値観が多様化しており、他者からの承認=「クール」についても、単に「モノ」を持つことではなくなっている。

「道徳的消費(環境に優しい等)」を「クール」とする価値観では、消費によって道徳的な社会がつくられる。

 

こんなところでしょうか。

承認欲求、または不承認への不安は、人間の行動を大きく左右します。

その根底となる価値観が多様化している点を、「反消費主義者」は見逃しているということですね。

決して無駄な消費を推奨している訳ではありません。

 

今後、どのようなものが「クール」になるのか。

イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領誕生は、この本で書かれている「クール」とは方向性が違う ように思います。

読み終えて、「クール」の行方に一抹の不安を感じてしまいました。