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偶然を生きる  冲方丁

第156回(平成28年下期)直木賞候補作品から『十二人の死にたい子どもたち』を読み、先日記事にしました。

www.saaiwa819.com

この小説がなかなか面白かったので、著者の他の本も読んでみたいと思ったところ、小説ではなく、この本を読むことになりました。

 僕は小説はあまり読まないし、小説自体より、小説を書く人がどんなことを考えているのかのほうに興味があるものですから。

 

さて、この本を読み進めるにあたり、重要な考え方となるのが、次の四つの「経験」です。

第一の経験が「直接的な経験」-五感と時間間隔です。

第二の経験が「間接的な経験」ーこれは社会的な経験ともいえます。

第三の経験が「神話的な経験」-超越的な経験であり、実証が不可能なものがほとんどです。

第四の経験が「人工的な経験」ー物語を生み出す力の源です。

この引用箇所の後に、それぞれの経験について説明がなされています。

しかし、僕はこの重要な四つの経験の意味がいまいち理解できていません。

この四つの経験は、本文の中で何度も出てくるなるので、これが理解できていないと、全体の理解も難しい。

書いてあることは、何となくわかるのですが、この本の内容を説明するには、読解力が足りないようです。

 

それでも、読み進めていくと、最後の章が「幸福を生きる」

要するに「幸福論」と考えてよさそうです。。

「四つの経験」と「幸福」について書かれた箇所を引用します。

それをはっきりと意識するためには、第一の経験から第四の経験まで全てを体験する必要があります。とはいえ、とくべつ高度なものである必要はなく、素朴な経験を積んでいけばいい場合がほとんどでしょう。そうすることによって、一人ひとりが独自の幸福な物語をどのように手に入れるべきか、ある日その答えが得られるはずです。

最初の「それ」は、「何があろうとも、幸福を生きているという実感に支えられた人生」を差していると思います(国語の試験のようですが、他の選択肢も考えられます)。 

また、著者は「経験」と「体験」を使い分けており、「第一の経験から第四の“経験”まで全てを“体験”する必要があります」という点は注意が必要です。

 

この本のタイトルは『偶然を生きる』ですが、僕のこれまでのまとめの中に「偶然」という言葉が出てきていません。

では、この大きな文脈の中で「偶然」はどいう位置づけになるのでしょうか。

 それは第四の経験に関わってきそうです。

 

第四の経験は「物語を生み出す力の源」です。

僕は、この物語を「社会を変える物語」「自分を変える物語」だと理解しました。

この「変える」には、良い方向も悪い方向も含まれます。

最初にも書きましたが、この理解には自信がありません。

ただ、そう理解することが全体の理解には都合がいいように思います。

 

「偶然を必然と感じる経験が、人間の物語づくりの根本になっています」と著者は言います。

さいころを振って出た目は偶然だとしても、さいころを振ったのは自分だという感覚が重要な意味を持ち、決定したのは自分だという感覚により、出た目が自分の運命だと受け入れることができる。

そうやって、偶然を必然と感じていくことが、自分や社会を変える物語の根本になるということでしょう。

 

ここまで読んだいただいた方ならお分かりかと思いますが、この本はサラッと読めるものではありません。

自分の読解力が足りていないのを棚にあげれば、論点が見えづらいという感じがします。

「第5章 日本人性がもたらす物語」「第6勝 リーダーの条件」の位置づけもはっきりしませんでした。

僕も、このブログを書きながら、頭の中を整理しており、書いた後も読み直しそうです。

 読んだだけでなく、ブログにすることで、少しは自分なりの解釈ができたように思います。

 

僕がどう理解しようとも、この本のタイトルは『偶然を生きる』です。

「人は誰でも偶然を生きている」ということを自覚することが、重要なメッセージであることは間違いありません。

失意泰然得意淡然の精神で、偶然を必然をすることができれば、幸福の物語が手に入るのかもしれません。