「グリコ・森永事件」をモデルにした小説『罪の声』を読み、このブログでも紹介しました。
この小説は、モデルである「グリコ・森永事件」の発生日時、場所、犯人グループの脅迫・挑戦状、その後の事件報道について、極力史実どおりに再現したとのことです。
そうなれば、実際の事件について書かれたものを読みたくなるのが人間の性ではないでしょいうか。
どこまでがフィクションなのかということも気になるますよね。
ネットの情報は玉石混交です。
また、この手の事件物には「トンデモ本」の類も多そうです。
そこで、『罪の声』の参考文献にもなっているこの本を読むことにしました。
「NHKスペシャル取材班」という安心感と、2012年と比較的新しく発売されていることも、この本を選んだ理由です。
NHKスペシャルの大型シリーズ「未解決事件」の第一弾として取り上げられた「グリコ・森永事件」
放送は2011年7月です。
番組の詳細はこちらをご覧ください。
NHKスペシャル 未解決事件 File.01 グリコ森永事件
捜査資料として、犯人からの電話の音声を聞くことができます。
その中には、『罪の声』の主人公が聞いた「自分の声」も含まれています。
この本の「はじめに」には、次のように書かれています。
本書では、元捜査員や元事件記者たちの貴重な証言(放送にはそのごく一部しか流れなかったが)に加え、NHKが入手した極秘資料、そして最新の科学分析で迫った「犯人像」の手がかりなどを、担当した記者やディレクターたちの手で綴っていく。
かい人21面相はどこへ行ったのかー。
なぜ事件は未解決に終わったのかー。
その答えに少しでも近づき、先人たちの「大いなる失敗」を糧とするためにも、是非ページをめくって頂ければ、と思う。
関係者に取材を試みる記者たちの姿は、『罪の声』に登場する新聞記者を彷彿させます。
本来なら、逆なのでしょうが、『罪の声』を先に読んだものですから・・・
「あの場面は実際に起きたことなんだ」「あの場面はフィクションなんだ」
どうしても『罪の声』を意識した読み方になってしまいます。
まあ、そういう目的で読んだ本なので、それでいいんですけどね。
先にこの本を読んでいたら、小説の読み方も当然変わっていたでしょう。
正直、どちらを先に読んだほうがいいかはわかりません。
未解決事件であることから、何らかの教訓を得ないといけないのではないか。
そういう問題意識はあって当然でしょう。
実際にこの事件をきっかけに、捜査方法が改善された点もあるようです。
とはいえ、何度かチャンスがありながら、犯人逮捕に至らなった警察の失態として扱われるこの事件。
この本には、そのような意見に対する、事件当時の大阪府警本部長からの反論も掲載されています。
この反論の内容をどう考えるかは別にして、こういう意見があることが書かれている点は良かった思います(扱いは小さいですが)。
こんな考え方もあるのかと、参考になりました。
フィクションからノンフィクションへ。
小説を読むことで、現実の世界への興味が広がる。
僕はそんな小説が好きなようです。